IDOCHAでは、辻村史朗さんのお茶盌をいくつかご用意している。
写真は片身変わり茶盌。
二つの釉薬を塗り分けられたもので、辻村さんの作品では珍しいものだとお聞きして選んだ。
2020年の春、伊賀のyamahonさんでの個展に伺った際、辻村さんがちょうど在廊しておられた。ご自身の愛用の茶道具で、私たち家族にお茶を点ててくださった。
子どもたちにも茶筅を持たせて真似事をさせていただいたり、お膝に座らせてもらって墨を摺り、墨絵のお絵かきまで楽しませてもらった。
その墨は器を焼いた後に窯から出てきたものだと仰っていた。
木 → 炭 → 墨 ということ?
よくわからないので次にお会いする機会があれば、このことをお尋ねしようと決めている。
私はただ、この目の前の光景が信じがたいもので、カメラを車に置いてきたことを後悔していた。でも、慌てて取りに戻るより、この様子をしっかり見ておこうと思い直した。
辻村さんの笑った時の目尻の皺、今でもよく憶えている。
夫はこの個展で、前々から目をつけていた黒の楽茶碗と、旅茶碗を選んだ。
予期せぬ出来事も含めて特別な器がまたひとつ増えて嬉しい。