家族からのお花 ***
IDOCHAでは、辻村史朗さんのお茶盌をいくつかご用意している。
二つの釉薬を塗り分けられたもので、辻村さんの作品では珍しいものだとお聞きして選んだ。
2020年の春、伊賀のyamahonさんでの個展に伺った際、辻村さんがちょうど在廊しておられた。ご自身の愛用の茶道具で、私たち家族にお茶を点ててくださった。
子どもたちにも茶筅を持たせて真似事をさせていただいたり、お膝に座らせてもらって墨を摺り、墨絵のお絵かきまで楽しませてもらった。
その墨は器を焼いた後に窯から出てきたものだと仰っていた。
木 → 炭 → 墨 ということ?
よくわからないので次にお会いする機会があれば、このことをお尋ねしようと決めている。
私はただ、この目の前の光景が信じがたいもので、カメラを車に置いてきたことを後悔していた。でも、慌てて取りに戻るより、この様子をしっかり見ておこうと思い直した。
辻村さんの笑った時の目尻の皺、今でもよく憶えている。
夫はこの個展で、前々から目をつけていた黒の楽茶碗と、旅茶碗を選んだ。
予期せぬ出来事も含めて特別な器がまたひとつ増えて嬉しい。
HIROKO KOSHINO
EX・VISION TO THE FUTURE
美術館に行く時は大抵、ポスターや、世の中の反響を事前に予備知識として少しは頭に入れた上で会場に向かう。だから、きっとこんな感じだろうと勝手にイメージしているものがある。
でもこの黄色の部屋は衝撃で、気持ちよく裏切られたような感覚があった。
リオデジャネイロとロンドンのオリンピックの体操競技のために、コシノさんがデザインされたユニフォームを展示している空間。ユニフォームは歌舞伎のくま取りをイメージさせる色使いとデザインで、それを身に付けたアスリートのマネキンが空中をスパイダーマンのように自在に舞っている。
という空間を紹介するポップが、このクルリン パッ