2021/03/26

母校


何年ぶりだろう、私が通った小学校に来たのは。
そもそも熊本への帰省がおそらく二年ぶりくらい。
最後に小学校を見たのはいつのことだか、まったく思い出せない。


この小学校に通うには子供の足で歩いて片道1時間ほどかかる。
学校に着く手前は力坂(ちからざか)と呼ばれる、車は通ることができない1.5キロほどの山道が続く。その山道をのぼりきったところで開ける運動場、その向こうに校舎。
写真はまさにその瞬間。

感動してしまった。
今年のお花見はこれで充分と思った。

低学年の頃は平屋の木造校舎、確か廊下は100mを超えていた。
長い廊下を、先生が座るキャスター付きの椅子に乗って、押して、競争していた。
もちろん職員室前で見つからないように気をつけながら。

この校舎に建て替わったのは4年生くらいのこと。
白い壁と鮮やかな朱色の屋根、学校中が新築の匂いで、ぬか雑巾で床を拭いていた思い出がある。


あれから30年ほどが経ち、記憶の中の屋根とはすっかり違う色になっていた。
でも寂しさは無く、今はここに甥っ子や姪っ子が通っていることが素晴らしいと思えた。

小中学校の9年間、ずっと仲良しで今は東京に住む友人にこの景色をお裾分けした。
保健室前の木の根本に埋めたタイムカプセル、みんなで掘り起こす日がいつか来るかなと話したことだった。