Chef's Table at Brooklyn Fare
New Yorkへ行くための航空券の手配より先にしたことは、このレストランの予約だった。
到着した日は雨と風の強い日で、ホテルの部屋に入り10分で支度をして、予約の時間ぎりぎりにお店の近くまで来た。 それらしき看板もなく、足元の水溜りを気にしながら、風に負けそうになる折畳み傘を支えるようにして、食料品店の店先に立つ男性にお店の名前を告げ場所を尋ねた。
その男性は食料品店の中にあると言い店内を指差す。
「え?」
そんなはずない、ただの時間の無駄だと家族に訴えつつ、乳製品の売り場やレジの前を通り店の奥に進んだ。
本来なら、[Staff only]と記され、いかにもバックヤードに入るための扉の前に、白シャツと黒いスーツに身を包んだ女性が姿勢良く立っていた。
「え!」
扉を開けてもらうと 厨房を囲むようにカウンターがあり、ずらりと吊り下げられた銅鍋が目を引く大人っぽい雰囲気のレストランだった。もちろん満席。
狐につままれるとは、まさにこの事。 |