通夜、葬儀に参列した誰もが初めて目にした 若き日の祖父母の姿をおさめたセピア色の写真。
祖母の所持していたアルバムから見つけられた一枚。
おそらく、結婚後初めて二人が街へ出かけた時に写真館で撮ったものだろうと、当時を知る祖母の一番下の弟が教えてくれた。ハンサムだっかたら自慢の姉婿だったんだと付け加えて。
私の母が六つか七つの頃に亡くなったという祖父の写真は、これまで遺影の他に一枚だけしか知らなかった。 それも小さな写真を引き伸ばしてあるかのような画質のもので、私にとってはずっとよくわからないままの祖父の顔であり、印象だった。
この二人の記念写真を通じて、大袈裟ではあるが私に繋がる糸が少し見えたような気がした。
まだ気がしっかりしている時の祖母に当時のことを色々と冷やかしながら尋ねてみたかった。
またこうして一人、夢で会いたい人が。
「ばあちゃんの手、すごくきれいよね」と、
生前から私たち孫の間で話題にのぼっていたうつくしい手の持ち主である祖母。
写真にうつる手の薬指に指輪を見つけ、孫である私たちはふたたび涙を浮かべたのだった。 |